世話係のつぶやき

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世話係のつぶやき

ああ、気が重い。今日から私は、世話係として、あの塔にある牢へ通わなければならない。 宮殿仕え、命を受けたら従うもの。だけど、どうして、私なのだろう。 きっと、あそこまで、登らなければならない体力を買われての事だろうけど。いえ、私が、邪魔だからだわ。 確かに、前王の、いや、表向きには隠居されている王の、外戚の血筋を私は引いている。邪魔者は、表舞台から、一掃すると言うことだろう。けれど、私は、外戚といっても、三代遡って、その支流から数えて、という、殆ど他人の様な関係なのに。 それでも、血筋には抗えない。そして、それを利用して、私も、宮へ登ったのだから。   王族の身の回りの世話をする下級貴族──。それが、今までの立場だった。 ところが、幽閉されているあの方の、世話係に抜擢された。 毎日、毎日、石造りの螺旋階段を登り、あの方のお世話の為に通わなけるばならないとは。ああ、ぞっとする。 とはいえ、元の立場がどうだろうと、今は、幽閉された、罪人。 王族相手の用に、へつらい、気を使う事もなく、適当に、仕事をこなして置けばよい。楽な仕事とは言えるけれど……。 あの塔の階段は、どれ程続いているのだろう。これから、牢を目指して登る事を思うと、げんなりする。 ああ、本当に気が重いこと。 私は、塔の入り口に立つ警備兵に、名前と目的を告げ、そして、見下した様な視線を受けながら、石段を登って行くのだ。 ああ、本当に、疎ましいこと。
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