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隣の牢の守衛のつぶやき
おい、あんた。
おや?どうした?何をそんなにたまげている?俺に話しかけられたからか?
仕方ねぇだろう?お前に告げろと、上からのお達しなんだから。
ああ、そうさ、今年も、謝肉祭がやって来る。
もう、皆、気もそぞろさ。だが、あんたにとっては、悪夢だろうな。
今年の謝肉祭の、仮面は、お前さんには、ないんだとよ。
ははは。どういう事か、分かるだろ?
悪魔に魂を抜き取られないようにを素顔を隠す。それが、謝肉祭の仮面だ。国中、老いも若きも、男も女も、皆、それをつけなきゃなんねぇ。
そして、謝肉祭には、悪魔に捧げる、生け贄が、必要なのさ。それも、ただの、子牛や子羊なんかじゃ、皆、納得しねえ。何せ、年に一度の、謝肉祭だからな。
悪魔に捧げる生け贄は、悪魔のようなモノじゃなきゃあ、盛り上がらない。
そうさ今年は、お前さんの番だ。
首切り処刑人が、使い込んだ斧であんたの首をはねることだろう。だから、仮面なんぞ必要ねぇってことさ。
あんたの挙げる断末魔の叫びに、飛び散る血渋き。
幾度となく振り下ろされる斧に、やっと、転がり落ちたあんたの首を、処刑人が掴み取り掲げる。そうして、歓喜の声が挙がるんだ。
ああ!どうかしてるぜ。やっぱり、謝肉祭には、魔物が降りて来るんだ。皆、正気を保てねぇ。
だから、街中いたるところで、らんちき騒ぎ。男と女が、好き勝手に交わって、欲を堪能している。まあ、本当のところは、これが、目的だけどよ。
年に一度のお楽しみ。思っただけでも、落ち着かねぇなぁ。
ほらよ、今日の食事だ。
さあ、俺は、伝える事は、伝えたぜ。
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