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伯爵夫人の独白
ああ、もうすぐ、謝肉祭がやって来る!
さて、今年のお楽しみは、何かしら?ああ、そうだ。前王が生け贄になるはずだわ。
ほほほほほ、民を、処刑台へ送り届けた本人が、民の目の前で、命乞いをしながら、斧で首を落とされる。
なんて、そそられる、話でしょう。
それにしても、余りにも、あっさりと事が進んだこと。
やはり、エミーリアをそそのかしたのが、正解だった。
ふふふふ、散々、男に遊ばれて、半裸になっているあの子の姿を、ドゥワポルトに、見せてやった。
ところが、仮面のせいかしら?なぜか、欲情してしまうなんて。
そこで、淫乱なる妹を捕らえさせるはずだったのに。こちらの計画は、台無しよ。
それにしても、私の体には、目もくれなかったくせに、ドゥワポルトは、仮面を着けた獲物に襲いかかった。妹とも、知らずに。
まったく。
育ちがどうあれ、所詮は、男。場末の娼婦を扱うように組敷くと、何度も何度も、事に及んだ。
其処へ、王のお出ましを知らせる、銅鑼の音が鳴った。
あとは、簡単だったわ。
私が、悲鳴を挙げて、王の気を引き、ドゥワポルトを逃がした。
残ったのは、何を起こなっていたのか、一目でわかる姿の、エミーリア──。
ふふふ、ドゥワポルトは、私の共犯。そして、今では、エミーリアと行っていたものの続きを、私と楽しんでいる。
初めの計画とは、違ってしまったけれど、これは、これで、良かったのかも。
それにしても、ドゥワポルトときたら……、権力というものに、目覚めたのかしら?
実の父親を追いやったくせに、エミーリアを幽閉した罪の意識から、心の病に陥ってしまった。なんて、嘘吹いて、事実上の王となってしまった。
ここで、下手に、前王の命をとれば、混乱を招いて、ドゥワポルトの命も危うくなる。
なかなか、筋の良い男だわ。そして、体の相性も、申し分ない。
ほほほほ、どう?お上品に、すまし顔で、ドゥワポルトに近寄っていた女達?
私は、この体で、ドゥワポルトを捕らえたのよ。欲しいなら、しっかり、掴み取る。それの、何か、悪いの?
……あら……?
何か、焦げ臭いわね。どうしたのかしら──。
ねぇ、ドゥワポルト!何かあったの?!
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