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金のネックレスとかしてないし、イメージと違うけど、反社とかだったら、すごく怖い。
急に個室になった後部座席で「何ですか!?」と文句を言った。
「うるさい」
腕を組んでムッとしている。
「覚えて無いのか? お前、野球チームにいただろう?」
「あ?えー、……はい?」
小学校の頃、兄達の影響で野球チームにいた。
少年少女のチームで、数少ない女の子だったけど、私は運動神経がよく、兄と小さい頃から遊んでいたせいもあって、ピッチャーだった。
大昔の話。
それが、なに?
「そこまで言って、覚えてないのか?」
え?
なにを?
訳がわかない。
変なことを言う人だと顔を伺っても、加賀宮は大真面目な顔で、私を見ていた。
じっとこちらを伺う男の顔は、きりっとした眉に、鼻筋が通って、真顔なのか怒ってるのか、やたらに威圧感がある。
そんな風に詰められても、小学校なんて、思い出そうにも大昔すぎる。
そう思っていたら、車が止まった。
見れば、取引先のビルについていた。
「ここに何の用事だ?」
「え。うちの者に、このファイルとこれ、渡すんです、けど」
「3分で戻れよ。話の続きがある」
「は?」
「2分58秒、57、56」
キッツ。
何、こいつ。
唖然としていると、運転手さんがさっとドアを開けてくれた。
自分のバックとファイルと紙袋を掴んで「ありがとうございました!」とお礼を言って自分でドアを閉めた。
顔はいい男だけど、きもい。
変態かストーカー系。
ばっくれよう。
足早に車から離れて、栄枝のオフィスへ向かった。
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