エピローグ

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エピローグ

 空一面が暗闇に覆われる中、雪はしんしんと降り積もっている。ニコラスの前にはサンタ・ユナイテッド極東支部の全員が一堂に会していた。トナカイとそりの準備も万端で、いつでも走り出せる状態になっている。  ニコラスが立ち上がった。 「諸君。懸命な働きに心から感謝する。今年は色々あったが、皆のお陰で無事子供達のプレゼントを全てまとめることができた。世の中には富める家に生まれた子供も、貧しい家に生まれた子供もおる。生まれながらの障がいに苦しむ子供もおるし、中には父母から虐げられていたり、そもそも父母から離れた場所で過ごさねばならぬ子供もおる。じゃがサンタ・ユナイテッドの信条は揺るがぬ。時代や流行が変わっても、子供達が胸躍る気持ちは変わらぬのじゃ。我々は今日、この世に生きる全ての子供達に愛と、祝福と、そして希望を配るのじゃ。さぁ皆の者、行くぞ!」  ニコラスが号令を下し、高らかに鈴を鳴らす。それと同時に1人、また1人と鈴を鳴らして雪原へと駆け出した。雪原にそりの跡がきれいに描かれていく中、ハンスもそりに乗り込み、ディーンの手綱を手に取った。 「さぁハンス、我々も行くかの」 「はい!」  ハンスは力強く返事をし、ディーンの手綱をしごき始めた。全ての子ども達が笑顔でクリスマスを迎えられることを願いながら。 【終】
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