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勝負
10日後。ハンスとお伴のトナカイ・ディーンは大阪日本橋にある大手玩具店・おたひろばの付近の物陰で待機していた。関西圏の中でも5本の指に入る予約販売数が見込まれているこの店舗であり、5体以上の予約者が非常に多い店舗でもある。午後4時45分。すでに店頭の販売スペース前には長蛇の列が出来上がっていた。だが、子供の姿はこの位置からはほとんど見えない。
「ハンスさん、見てくださいよ」
ハンスの隣についていたおたひろばの店員が難しそうな顔を見せた。
「仕事をしている人が多い時間帯なはずなのに、前方にいるのは大人ばっかりですよ。ちゃんと学校に行ってから列に並んでいる子供が長いこと待たされるって、変な話ですよね」
店員は難しそうな顔をしてそう言うが、ハンスは表情を変えずにただただ店頭の特設ブースを見つめていた。
「うまくいきますかね?」
「とにかく、やってみるしかないですよ」
店員にハンスがそう答えた瞬間、時計が午後4時59分を指した。
「出番ですよ」
店員に促され、ハンスとディーンは店頭へと向かっていった。
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