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「はぁ……」 鬱陶しい双子を追い返し、自室をある程度部屋を片付けた頃、コンコンという小さなノックの後、「風紀委員長の沢村だ」という声が聞こえた。 風紀委員長…… 入学式の時にいた、かっちりとした空気の人だな。たしか さて、これはお叱りを受けるということだろうか。それもそうだな。あの双子のせいで入学式はぐだぐだに終わったし、ぽかんとしている人たちを置いて俺は担ぎ出されたし、文句の一つや二つ出るのもおかしくはない。 本日、何度目かわからないため息を漏らしてカチャリと扉を開ける。 「急に押し入ってすまない。1年の藍川隆飛であってるか?」 「はい。そうです」 和と同じ眼鏡族だけど、どうしてこうも違うものか。和は眼鏡をかけたただの胡散臭い男であり、この人は眼鏡をかけているせいかしっかりした人に見える。 「実は頼みがあるんだが」 おっと…… 予想と違う会話の切り出しかたに思わず目を見開いてしまう。 「風紀委員会に入ってくれないだろうか」 「………は?」 ふ う き ??? それ、今の俺に一番頼んだらダメなものでは? 入学式ぶち壊した人間だぞ? 「なんで、俺なんですか?」 「情けない話、今の風紀委員ではあいつらを止めることはできない。」 ほぅ…… また双子じゃんか?!!!! あいつら、ほんと!! ほんとに余計なことしかしねぇな?!! 「今日の様子を見てて分かった。あいつらは藍川の言うことなら聞くんだろう?」 「え?まぁ……聞かないときもありますけど…」 「いや、少しでも行動が制御できるならそれでもいい。急な話で悪いが、風紀委員に入って、あの二人を抑えてほしいんだが、無理か?」 「………それって、俺にメリットとかあります?」 あの二人を抑えるのもかなりの体力と気力を使う。なんたって自由気ままな双子様だからな。いくら、先輩の頼みであろうと無償で受けるきにはならない。 「そうだな……風紀委員に入れば、授業はある程度免除される……それでは駄目か?」 ちょっとお兄さん…… あ、そんな顔しないでもらってよろしいです? 「やりますやります、やらせていただきます、ありがとうございます」 何ですか?悪いですか? 俺、こう見えて面食いなんですよ。 あと、俺って優しいから困ってる人見ると放って置けないんですよね。ほら、俺って優しいから だって、こんな…武士みたいな、お堅い感じの人が眉下げて困った顔してたら受けるでしょ。なんだよ、俺が間違ってるっていうのか?え?? 「そ、そうか…助かる…」 ほら、見なさい。 かわいい顔して、笑った。 俺、今日からこの人のためにあいつらの手綱握ることにした。 ぽんっと判子を押して、その書類を手渡せばまた嬉しそうに笑った風紀委員長にずきゅんした。
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