生殺し

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生殺し

産屋(うぶや)のそばでは村長が、苦虫を噛み潰したような顔をして立っておった。 「あまり近づくと(けが)れっど」 婆様(ばさま)は吐き捨てるようにそう言って、村長の横を足早に通り過ぎた。 多々羅は空気のように婆様(ばさま)のあとをついて進む。 不意に村長の太い腕が多々羅の細い肩をつかんだ。 「ええか? 生かさず殺さずじゃ! 塩梅ようやるんじゃぞ!」 多々羅は怯えたように顔を歪ませた。 ほとんど見えない多々羅の目に、人はぼんやりとした黒い塊として映る。 そして、失った視力の代わりに多々羅には特殊な能力があった。
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