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鬼の子を産む
苦しみの長い時間が過ぎた。
「婆様、婆様！ 多江を助けてやっておくれよぉ！」
ヨシの悲痛な叫びが狭い産屋に響く。
婆様は黙ったままだった。
婆様の感情は複雑すぎて、多々羅には読み取れなかった。
不安・怒り・苦悩・悲しみなどの負の感情の他、どうにかして多江の命を救えぬかと活路を模索する『希望』の橙が入り交じる。
「長引いては母子共にもたん。一気に押し出すぞ！」
婆様は多江の体に乗り上げて、その大きな腹を押した。
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