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「サーリーお嬢様、ルーベスタ様がお帰りになりました。なんだか寂しそうなお顔をされていましたよ」
「そうですか……」
なんだか悪いことをしてしまったような気がするのだけど、そう言われてもわたしだって困ってしまうのだ。
「あと、五時間後に結婚式でございますよ」
そう言ったマーリーの声が胸の奥にズーンと響いた。五時間後だなんて……。
わたしは、ベッドから立ち上がり窓を開けバルコニーに出た。外の景色を見て呼吸が止まりそうになった。
だって、わたしの住んでいる日本と全く違う景色がそこには広がっていたのだから。その景色はとても美しくて赤色の煉瓦造りの屋根が可愛らしくてまるでおとぎ話から抜け出した世界に見えた。
「どうなっているの? わたし、なんてところに来てしまったの!」
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