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道也君のいるこの世界に戻ってこれて良かったと思っている。
だけど、マルコーリさん達がいた世界もあったと信じたい。だって、わたしはルーピー村でいろいろな体験をしたしマルコーリさんやシロリンの優しさに触れた。
「砂織ちゃん、あのそれは何かな?」
道也君が奇妙な顔をして聞いてきた。
「え? それって」
「砂織ちゃんが握りしめているものだよ」
「わっ!! これは」
わたしは、自分が握りしめているものを見てそれはもう驚いた。だって、魚の後頭部つきの骨を握りしめていたのだから。
この魚の骨はシロリンちゃんが食べていた魚だ。きっとそうだ。あの子はきっとマルコーリさんと今も楽しく暮らしているはずだ。
「この魚の骨はわたしの食いしん坊の友達のプレゼントだよ」
わたしはそう言ってにっこりと笑った。
「なんだかよく分からないけど砂織ちゃんが元気になって良かったよ。僕の小説読んでね」
「うん、道也君の小説とっても楽しみだよ」
「砂織ちゃん、これからもずっとそばにいてね」
道也君は柔らかい笑みを浮かべ原稿用紙を差し出した。
「うん、道也君これからもよろしくね」
わたしは原稿用紙を受け取り満面の笑みを浮かべた。
「完」
→あとがき
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