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その声に振り返ると、「サーリーお嬢様、お朝食の時間でございますよ」とその女性はわたしの顔を見て言った。
「……サーリーお嬢様って誰ですか?」
「サーリーお嬢様、ご自身のお名前を忘れてしまわれたのですか?」
「ご、ご自身ってまさか……」
「はい、お嬢様のことでございますよ」
女性はそう答え微笑みを浮かべている。
そうだ、これは外国人になった夢なのだ。この夢の中でわたしはサーリーらしい。
「あはは、わたしはサーリーですね。ところであなたは誰ですか?」
「サーリーお嬢様寝ぼけていらっしゃいますね。わたしはメイドのマーリーですよ」
メイドさんもいるなんてなんだかゴージャスな夢だな。このメイドさんは若草色のワンピースに真っ白なエプロンをつけているヨーロッパ風の外国人なのだから。
わたしは外国人に憧れていたのだろうか。夢の中の世界を楽しむのも良いかなと思ったのだけど、それにしてもなんだかリアルだ。これは、本当に夢なのかなと考えてしまう。
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