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「とにかくわたしは結婚なんてしませんから」
わたしがそう言って食堂から出て行こうとすると、
「サーリー待ちなさい! このフラーンズ家の為だと思って我慢してくれ」とお父さんは言った。
「……嫌です」
「お願いだから父の言うことを聞いてくれ」
「嫌なものは嫌です」
夢の中なのにわたしはどうしてこんなにムキになっているのだろうかと不思議に思う。
「このフラーンズ家に生まれてきたことはサーリーお前の宿命なのだと諦めてくれ。父の言うことを聞け!」
先程まで目頭をハンカチーフで押さえていたお父さんが、今は猛獣みたいな目でわたしを見る。
その恐ろしい目つきにわたしはビクッとする。虎に狙われた子猫はこんな気持ちになるのだろうか。
だけど、わたしも負けじとお父さんを睨み返した。すると、お父さんが、「おい、マーリー部屋にサーリーを閉じ込めておくんだ」と言ったのだ。
「はい、かしこまりました」
マーリーはぺこりと頭を下げたかと思うと、わたしの腕をガシッと掴んだ。その力はとても強くてわたしはズルズルと引きづられた。
「は、離して~」
わたしは、ズルズルと引きづられながら大声で叫んだ。
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