気がつくとサーリーになっていました

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「サーリーお嬢様申し訳ございませんが手を離すことは出来ません! お許しくださいませ」 マーリーの言葉は丁寧ではあるけれど、わたしの腕を掴んだその手の力を緩めない。なんて怪力なんだろう。まさか男性だったりしてなんて考えてしまうほどだ。 「サーリーお嬢様。お部屋でじっとしていてくださいませ~」 マーリーはそう言ったかと思うと高級感溢れる木製のドアをばーんと開けた。そして、わたしを部屋の中にぽーいと放り込んだ。わたしは床に落ちていた猫のぬいぐるみにつまずき、どしーんと転けた。 「ちょっと、マーリーさんってば痛いじゃない。失礼よ」 「サーリーお嬢様。申し訳ございませんでした。大丈夫でございますか? えっ、わたしのことをマーリーさんと呼んでくださるなんて!」 マーリーは目を丸くしてわたしの顔をじっと見ながら手を差し出した。 わたしは、差し出されたその手に掴まり立ち上がった。 「マーリーさんって呼ぶからわたしを部屋に閉じ込めないでくれますか?」 「それは残念でございますが無理です」 マーリーさん、即答ですか。わたしは深い溜め息をついた。
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