ユーアーナとマルコーリさん

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部屋に戻るとマルコーリさんが持ってきてくれた真っ白なネグリジェに着替えた。普段のわたしはパジャマなのでなんだか落ち着かない。 わたしは、ベッドに入り手足を伸ばした。 今日の一日はいろんなことがあった。人生の中でこんなに目まぐるしい一日は初めてだったと思う。 春川砂織からサーリーになっていた。ルーベスタさんとの結婚問題、喋る猫シロリンとの空飛ぶ冒険、そして、優しいマルコーリさんと出会った。それと、可愛らしいのにちょっと怖いユーアーナにちらりと睨まれた。 明日、目を覚ました時もわたしは、サーリーのままなのだろうか? 春川砂織に戻っていたら良いな。けれど、マルコーリさんとの別れもちょっと寂しいかな。そんなことを考えながらわたしは眠りについた。 ふわふわふわふわと夢の中のわたしは幸せな色に包まれている。 そして、大好きな誰かがわたしの顔を見てにっこりと笑った。わたしもその誰かににっこりと笑い返した。 この笑顔が見られる場所に帰りたい。目を覚ましたら春川砂織のベッドだったら嬉しいな。 どうか明日目を覚ましたら春川砂織に戻っていますように……。夢の中のわたしはそう強く願った。 春川砂織に戻っていますように……。 どうかお願いします……。
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