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「ふぁ~よく寝た。砂織ちゃんおはようにゃん!」
大きく口を開けてあくびをするシロリンちゃん。その口元からヨダレがたらーりと垂れている。
「シロリンちゃん、おはよう。ヨダレが垂れているよ」
「えっ!? うにゃま! わたしとしたことがにゃん」
シロリンちゃんは慌てて鏡の前に立つ。
「もう、わたしってば可愛らしい女の子なのにヨダレなんて垂らして情けないにゃん」
シロリンちゃんは肉球のある可愛らしい手で垂らしたヨダレをゴシゴシと拭いた。
「シロリンちゃんってば朝から騒がしいね」
わたしは、クスクスと笑いながら鏡に近づいた。やはり鏡の中に映るその姿は透けるような真っ白な肌に柔らかなブロンドヘアの女性サーリーだった。
可愛らしくて美しいけれど春川砂織に戻れていなくてガックリと肩を落とした。
「砂織ちゃん大丈夫?」
もふもふの頭に赤色のリボンをつけながらシロリンちゃんが心配そうにわたしの顔を見た。
「春川砂織に戻れなかったなと思ってちょっとガッカリしちゃったけど大丈夫だよ」
わたしは、ふふっと笑って見せた。
「砂織ちゃん……元の世界に帰りたいんだね」
赤色のリボンを頭につけることに成功したシロリンちゃんが心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。
「うん、戻りたいよ」
「そうだよね。きっといつか戻れるよ。それまではわたしと仲良くしてにゃん」
シロリンちゃんはウィンクをした。
「シロリンちゃん、ありがとう」
わたしは、シロリンちゃんの優しさが嬉しくてにっこりと笑った。
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