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食事の部屋に行くとパンの焼けた良い香りがふわふわと漂っていた。
「砂織、シロリン、おはようございます」
テーブルに食事を並べていたマルコーリさんがわたし達に気がつき顔を上げて微笑みを浮かべた。朝から爽やかなその笑顔にホッとした。
「マルコーリさん、おはようございます」
「マルコーリさん、おはようにゃん」
わたし達は、挨拶をして席に着いた。
朝食のパンと牛乳を飲んだ。この真っ白な牛乳を飲むと牛の乳搾りを思い出すなと思っていると、
「砂織、シロリン、朝食が終わったら牛の乳搾りをお願いしますね」
「あ、はい……」
「え~っ! わたし、今日も牛の乳搾りをするんですかにゃん」
「はい、牛の乳搾りはお二人の仕事ですからね」
マルコーリさんは爽やかな笑顔を浮かべたけれど今度はホッとしなかった。だって、牛の乳搾りはご遠慮したいのだから。
食事を終えたわたし達はバケツを片手に渋々、牛さん達の元へ向かった。
「砂織ちゃん、牛さん達ってば美味しそうに草を食べているね」
「うん、そうだね。って、シロリンちゃんどうしてヨダレを垂らしているのよ!」
「あ、えっ!? わたしヨダレを垂らしてしまったにゃん。だって、草って美味しいのかなと考えていたらつい……」
シロリンは、照れ笑いを浮かべエプロンの裾で垂れたヨダレを拭いた。
わたし達はモーモーと鳴く牛に近づいた。
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