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「片瀬」
ようやく真鍋課長の声が聞けた。
「なんでしょう?」
「俺もすぐ終わるから。家まで送る」
「いいえ、大丈夫です。まだこんなに早い時間ですし、電車で帰れますから」
「俺も帰るからついでだ。片瀬の家は通り道だから」
真鍋課長は残業も多く、早朝に現場に向かうことも少なくないので、車通勤が許可されている。
「よし、行くか」
帰る準備ができた真鍋課長が立ちあがった。
真鍋課長の車に乗るのはこれで二回目。車体が高くて前はうまく乗れなかったけれど、今回はなんとかうまく乗ることができた。
「学習したな」
「顔が笑ってますよ」
「ははっ、悪い。つい」
打ち合わせの帰りとは打って変わり、和やかな雰囲気だった。
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