1.淫らに堕ちていく

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「みんながみんなサッカー好きとは限らないだろ。暑いなか、応援に来てくれただけでもありがたいと思え」  玲がわたしのフォローをしてくれた。 「わかってますけど。こいつ、基本的になんにも興味を示さないんで、俺がいろいろ教えてやろうと思ってるんですよ」 「何様のつもりだよ?」 「親切心ですよ。明日香にはむしろ感謝してもらわないと」  ひどい言様だ。さっきから黙って聞いていれば言いたい放題。  まったく壱也のやつ、口数だけは減らないんだから。 「おーい。壱也!」  そのとき、グランドを整備していたチームメートが壱也を呼んだ。どうやら手伝えと言っているらしい。壱也はそれを察し、玲に「ちょっと行ってきます」と言い残し、グランドへ駆けていった。  え? 行っちゃうの?  どんどん小さくなる壱也をわたしは不安になりながら見ていた。  そして取り残されたわたしと玲。壱也がいなくなると途端に気まずくなる。  なにを話せばいいんだろう。  だけど話題をさがしていたら、玲のほうから話しかけてくれた。 「今日は長い時間お疲れさま。暑くなかった?」
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