1.淫らに堕ちていく

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 夕暮れが近づく空の雲は紫が混ざったようなピンク色が薄くかかり、優艶な美しさだった。  気温も下がり、だいぶ涼しくなっていた。  試合のあと三人で飲みにいこうと提案したのは玲だった。 「今日は久々の休みなんだ。このまま帰るのはもったいない。明日香ちゃんさえよければだけど」  いきなり下の名前を呼ばれてドキリとする。その瞬間、玲に対して親近感がわいた。本当は試合が終わったらさっさと帰ろうと思っていたけれど、飲みにいくのもいいかなと思った。  場所は試合会場近くの居酒屋だった。  テーブル席に案内され、わたしと壱也が並んで座り、向かい側に玲が座った。慣れないスリーショット。親近感がわいたといっても、お酒の席はまた違った雰囲気で、最初は緊張していた。  だけど時間が経つにつれ、玲は意外によくしゃべると知り、徐々に緊張もほぐれていった。 「女の子なのに建築科なんだ」 「珍しいですよね」 「なかなか大変な世界だよな。なんだかんだいっても建設業界はまだまだ男の世界だもんな」 「そうなんですよね。就職もかなり厳しそうです」 「でも最近は女性の建築家も増えているから、しっかり企業研究をして自分に合った会社を選べば、将来的に活躍の場が広がると思うよ」
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