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だけどそれから二日後、玲から本当に連絡がきた。期待していなかった分、興奮した。
「これから出てこられない?」
前置きなく言われ、このとき初めて玲のことを本気で意識した。
「いいですよ」
それから、ふたりで夜のドライブに行った。その日のうちにキスをした。玲と身体の関係を持つまで時間はかからなかった。
こうしてはじまったわたしたちの関係は壱也にはとても言えなかった。誰にも言えない関係だった。
◇◆◇
シャワーを終え、バスタオルを腰に巻きつけただけの玲はクローゼットから慣れたように下着と服を引っぱり出す。服を着ると、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、夕飯が並んだローテーブルの床に腰をおろした。
缶ビールのプルタブを開け、まずはビールをひとくち。
「お、うまそう」
そしてわたしが作った料理を見て、そうに言ってくれた。
よっぽどお腹空いていたみたい。
料理が苦手なわたしだったけど、玲のために必死に覚えた。
「おいしい?」
「うん。うまいよ」
玲は必ずそう言ってくれる。絶対にわたしを否定しないんだ。前髪を切りすぎてもすっぴんでも、いつも「かわいい」と言ってくれる。
玲はわたしの全部を愛してくれている。玲にとってきっとわたしは一番ではないけれど。
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