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だけど手のなかのペットボトルの冷たさがすごく気持ちよくて、そこでようやく水分補給をし忘れていたことに気づき、思い直した。
無愛想だけどいい人なのかも。
視線を移すとベンチに戻っていく玲の後ろ姿が見えた。たくましい背中がティーシャツの上からもよくわかる。
色気あるなあ。それにきれいな手だった。
そんな淫らな印象が色濃く残り、そのことばかりを考えているうちに試合が終わった。
結果は2対0。壱也たちのチームの勝利だった。
「おめでとう。よかったね」
壱也と合流し、声をかける。
「見てたか? 俺の見事なディフェンス」
壱也が得意気に言う。
「ディフェンスってなに? サッカーのことぜんぜんわかんない」
「俺が相手からボールを奪ったとこ、見てなかったのかよ?」
「見てたはずなんだけど。見逃したのかな」
「おまえ、絶対見てなかっただろう」
「見てたよ! ……一応」
「一応って……なにしに来たんだよ?」
わたしが壱也とそんな会話をしていると……。
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