1.淫らに堕ちていく

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 だけど手のなかのペットボトルの冷たさがすごく気持ちよくて、そこでようやく水分補給をし忘れていたことに気づき、思い直した。  無愛想だけどいい人なのかも。  視線を移すとベンチに戻っていく玲の後ろ姿が見えた。たくましい背中がティーシャツの上からもよくわかる。  色気あるなあ。それにきれいな手だった。  そんな淫らな印象が色濃く残り、そのことばかりを考えているうちに試合が終わった。  結果は2対0。壱也たちのチームの勝利だった。 「おめでとう。よかったね」  壱也と合流し、声をかける。 「見てたか? 俺の見事なディフェンス」  壱也が得意気に言う。 「ディフェンスってなに? サッカーのことぜんぜんわかんない」 「俺が相手からボールを奪ったとこ、見てなかったのかよ?」 「見てたはずなんだけど。見逃したのかな」 「おまえ、絶対見てなかっただろう」 「見てたよ! ……一応」 「一応って……なにしに来たんだよ?」  わたしが壱也とそんな会話をしていると……。
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