蚯蚓は木に登る

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「トウゴ。良くやってくれた。国王陛下からお褒めの言葉をいただいた」 「私は何もしていませんが」 ムドゥさまの声が弾んでいる。 きっと上機嫌なのだろう。 「ムドゥさま、良くして下さった恩は忘れませんが、あんなことがあったら心臓がいくつあっても足りません。どうかもう貸し出しは勘弁して下さい」 「トウゴ。次はフォゴーレの街へ向かってくれぬか。新しい事業の打ち合わせがある」 「ムドゥさま、聞いてませんね」 ムドゥさまの頭がゆらゆらと左右に楽しそうに揺れた。 どうやら私はこの世界を思う存分堪能することになりそうだ。 【完】 595194b6-ab4e-471d-8afb-be7e53a2cbb3
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