プロローグ

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プロローグ

間接照明が照らす巣籠で男が複数枚の写真を眺めている。 「これで居場所も教える事になる」 そう言って、男は巣籠を出て行った。 薄暗い。 朝から豪雨で、薄黒い。 昨日の深夜のニュースでもそれは言っていた。 予想通りだ。 しかし、俺は明かりを点けられないでいる。 明るさなどいらない。 いや、暗さが欲しい。 俺の気持ちもこの空の様に暗い。 同化したい。 音が心地良い。 もっと降れ。 男は立ち尽くしながら窓から雨雪崩を見つめていた。
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