第十一章 繋がり

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「さて、次はいよいよMDで正式にSAOがREDPALとKYUMを負かす方法、つまり、南野さんが則島を、君が南野さんのライフポイントを0にし、正当な殺害動機を作る方法の話、殺害したい相手のライフポイントを確実に削る方法だ。その方法は大きく別けて二つある。まず一つ目、君と南野さんが質問者である時、または質問者ではない時、つまり、どちらの立場でも良い時に、その負かす相手の質問に対しての本当の回答を知っていて、負かす相手がその本当とは違う回答をした時にすかさずダウト宣言し、相手のライフポイントを削る方法。二つ目、殺害される側の人間が事前に君と南野さんの建前上、本物の回答を知っていたが、それが実は間違いの回答で、そんな事露知らずそれを盲信し、その事前に知っていた回答とは違う回答を君と南野さんが出した時、すかさずダウト宣言し、その代償として自分のライフポイントが失われる方法だ」 「へえー、そうなんだ」 「そして、則島は南野さんつまり、KYUMの情報を主催者Xから直接、則島に渡し、入手したんだ」 「それはMDの規約上出来ないんじゃないのか?」 「いや、それは出来るんだ」 「何故だ?」 「MDの規約八は「主催者Xは如何なる場合、例えばプレイヤーが直接、主催者Xに訊いてきた場合でも、各プレイヤーが事前に回答した情報を教授しない。」だ。一見、主催者Xが則島に直接プレイヤーの情報を教えるのはMDの規約に違反する様に思える。しかし、この規約はあくまでも“各プレイヤーが事前に回答した情報”だ。KYUMを指名したのは主催者Xが自身だ。よって、主催者XはKYUMが事前に回答した情報を則島に教えたのではなく、MDでKYUMとして参加しているのが女という嘘を教えたんだ。そして、則島はKYUMは女だというデマ情報を流されたんだ。だから、性別の質問でKYUMの男という回答にダウト宣言したんだ。その前の雑談の時にはKYUMが男の振りをしていると思った筈だ。この手は南野さんと則島の残りのライフポイント1の時にだけ使える一回きりの手だ。何故なら、それまでにその方法でライフポイントを減らさせると、その事前に聞かされていた情報が始めのダウト失敗で虚偽の情報だと悟られ、もう二度とその情報を信じないからだ。だから、KYUMである遠野さんは則島のライフポイントが1になった時点で性別に関わる質問である「初恋相手の名前は?」をしたんだ」 「へえー、そうなんだ」 「ああ、また敢えて、君と南野さんの回答の際、則島と南野さんが事前に教えられた質問に対する回答と同じ回答をしたとしても、主催者Xの回答の発表で、その回答は実は嘘だという事になり、その時点で南野さんと則島にその事前の情報は虚偽だったと思われる事になる。よって、これは知らない内に騙されて、気づいた時にはもう負けていた時にしか使えない手だ。つまり、この手は南野さんと則島の残りのライフポイント1の時に使える手でしかない。残りのライフポイント1になるまでには前者の方法である君と南野さんが質問者である時、或いは質問者ではない時、つまり、どちらの立場でも良い時に、その負かす相手のその質問に対しての本当の回答を知っていて、その負かす相手がその本当とは違う回答をした時にすかさずダウト宣言し、相手のライフポイントを削る方法でライフポイントを減らさなければならない。よって、その方法を遂行する為、則島と南野さんの個人情報をMDの規約に違反せずに知る方法が存在するのならば、さっきまで言った後者の殺害される側の人間が君と南野さんの事前に建前上、本物の回答を知っていたが、それが実は間違いの回答で、そんな事露知らずそれを盲信して、その事前に知っていた回答とは違う回答を君と南野さんが出した時にすかさずダウト宣言し、それが失敗に終わり、その代償として自分のライフポイントが失われる方法はさっき言ったリスクがある為、実際には使用されなかったかもしれない。前者の方法の方がリスクが最小限で済み、無理してたった一回の為に事前に手間暇かけて仕込む理由もない。よって、前者の方法で則島と南野さんのライフポイントが減らされ、君は南野さんの、南野さんは則島の個人情報をそれぞれ直接仕入れたんだ。そして、君はその情報を他のプレイヤーに流失させ、賞金の山わけを条件に手を組んでいたんだ。何故なら、仲間である筈のSAOが南野さんに対してダウト宣言をしたら、自分への背信と南野さんに認識されるからな。だから、君は南野さんに対してダウト宣言出来ない。よって、実際には手を組んだプレイヤーが南野さんつまり、KYUMのライフポイントを減らしていたんだ。そして、これは俺の予想だが君が手を組んだ相手は恐らく、LEOだ。恐らく、第一回目のMD終了後、その時まだ、プレイヤーではなかった君は主催者Xから、LEOの連絡を聞かされ接触し、交渉したんだろう。これなら、MDの規約の主催者Xはプレイヤーに肩入れしないに違反しないからな。そして、LEOはさっきまで行われていた第三回目のMDの際、俺、君、MUE、ANEXの四人が優勝候補になった為、仕方なく二人で優勝を山分けから、俺を抜いた五人で山分けの選択肢を取るしかなかったんだ」 「だったら、南野さんとLEOが使用したそれぞれ最低、殺害したい相手のライフポイントを1までにする方法とは一体なんだ?まさか偶偶、則島と南野さんがライフポイント1になったという戯言や奇跡を言うんじゃなかろうな」 「いいや、奇跡何か起こっていない。君は、いや、南野さんとLEOは堂々と狙った獲物のライフポイントを1にしたんだ。しかし、その為には事前に殺害したい相手のMDの質問の回答に関する情報を知らなければならない。つまり、言い換えれば、事前に君が南野さんの、南野さんが則島のMDに関する情報を入手出来さえすれば、殺害したい相手のライフポイントを1までに出来るんだ。今から、取り敢えず、考えられる方法を全て言う事にしよう。しかし、これはあくまでもMDの許容範囲内の方法であって、MDの規約に違反する方法を挙げたら即却下するがな」 「主催者Xは実に誠実な人だね。しかし何故そう言い切れるんだ?」 「何故ならば、MDのそれに関する規約をわざわざ作ったという事は純粋にルールに則って、俺と勝負したいからという事と解釈出来るからだ。それを破ってまで勝ちたいというそんなアンフェアな事をして一体何が面白いんだ?」 「あくまで、勝負は公平にか」 「そうだな。では、余談が過ぎたが、全ての方法を挙げるぞ。一、南野さんと則島が事前に主催者側に提出した各質問に対する回答の内容を主催者Xや遠野さんから直接教えて貰う。これはMDの「主催者Xは如何なる場合、例えばプレイヤーが直接、主催者Xに訊いてきた場合でも、各プレイヤーが事前に回答した情報を教授しない。」というルールに背くから遠野さんも主催者Xに訊けないから有り得ない」 「へぇー、そうなんだ。MDに参加していないプレイヤーでも駄目なんだ」 「そうだ。二、南野さんが第一回目のMD時点では、REDPALを使用しているのは則島だという事、君が第二回目のMDの時点でKYUMを使用しているのは南野さんだという事を知っている。つまり、殺害したい相手の使っているIDは知っているので、それぞれゲームが始まる前に徹底的にその人物について事前に調べ上げる。若しくはそれぞれの主催者Xに事前に提出した回答用紙を主催者Xから建前上、盗んだ事にする。これは、後者は駄目そうだが、前者の方はまだ大丈夫そうだ。主催者Xがプレイヤーに加担しているかどうかは微妙な線だが取り敢えず、候補として残しておこう。もっと良い方法があるからな」 「もったいぶるね」 「続けるぞ。三、事前に回答を主催者Xにメールで添付して送信した際に、君と南野さんがその回答用紙の電子ファイルを手に入れた。つまり、これは回答用紙の電子ファイルを添付する先のメールアドレスが則島は南野さんに、南野さんは君のアドレスに送信される様にしたという事だ。則島も南野さんもいちいち、メールアドレスが送信元と違ったとしてもそもそもそれが本当かどうかも解らないし、ただ、指示されたメールアドレスに送っただけだから、気にも留めないだろうからな。しかし、これもMDの規約に違反しそうだ」 「正解はまだか?」 「すまない、出し惜しみをして。そして、次が恐らく正解だ。四、南野さんは事前に則島と親しいある人間を金で雇って、その人間に仲介させ、ある機会に則島からそれに必要な情報を聞き出した。そして君は、ある時、ある場所で南野さんから直接、南野さんの個人情報を聞いた」 「馬鹿か。そんな、南野さんが自分のライフラインとも言える個人情報を俺に喋る訳ないだろ」 「いや、そんな事はない。何故ならばこの時点で自分がフクマデンだと思っている南野さんが、君の事を「自分を殺そうとしているもう一人のフクマデン」だとは全く思わないからだ」 「言われてみればそうか」 「まずは南野さんが則島から情報を訊き出した方法の詳細について話そう。南野さんは、則島からMDに関する情報を訊き出す為に仲介役としてある人間を金で雇ったんだ。その人間こそ、南野さんと則島の中学の同級生で、あの中学の同窓会の幹事だった竹飛敏彦だったんだ。そして、竹飛には南野さんは「仲介人として則島を殺害する為、協力して欲しい」と正直に言ったんだ。その為に同級生の中から利己的で、他人の死に対して何とも思わなそうな人物が仲介役として人選され、それが竹飛だったんだ。流れとしてはこうだ。まず、竹飛が中学の同窓会を企画した。その打ち合わせも兼ねて、同窓会の一ヵ月前に竹飛が則島と個別に居酒屋で会った。その際、則島のMDに関する情報を訊き出した。竹飛が則島と個別に居酒屋で打ち合わせした事はその同窓会に参加していた事実は竹飛に直接確認した。酒の席では話も弾むし、則島の警戒心も緩む事になるだろう。実はこの時はMD以外では絶対に油断してはならない時間だとは知らずに、久しぶりの再会でMDの質問に関する事を竹飛に喋ってしまったんだ。勿論、本名、出身地、性別、職業等は訊かなくとも解るがな。そして、後日、南野さんは竹飛から、恐らくメールで則島から訊き出した個人情報を聞いたんだ」 「メールだと、伝え漏れなく訊き出せるな。確かにそれだったら南野さんは則島の個人情報を手に出来る」 「そして、次に君が直接、南野さんからMDの回答に関する個人情報を訊き出した方法だが、これしかないだろう。しかも、聞き出す数は南野さんより圧倒的に数が少なくて済む。南野さんの本名、性別、職業、最終学歴は初めて、南野さんと会ったファミレスで自ら話している事で別に聞かなくても知っている事だし、生年月日、出身地はその後、俺の家でMDのルールを見る前、君は南野さんから何気なく、訊き出していた。その時、既にMDの質問内容を知っていた君とは違い、俺達はその質問内容を知らなかったし、そんな事、気にも留めなかった。つまり、君は第一回目のMD終了時点で、その第一回目のMDで出た質問とさっきの六個以外の回答を一週間内に南野さんから最低でも三個、聞き出せば良い事になる。何故なら、プレイヤーが途中で交代してもそのプレイヤーのライフポイントは引き継がれるからだ。遠野さんの第一回目のMDでの仕事は南野さんが疑いの持たぬ程度にKYUMのライフポイントを増やさず、出来る限り維持する事だったんだ。実際に第一回目のMD終了時点でのKYUMのライフポイントは3だった。そして、君は第二回目のMDが始まる前に俺達の目の前で堂々と南野さんに直接、回答を訊いていたんだ」 「で一体いつ、どこで俺が南野さんに個人情報を訊いたって言うんだよ」 「第一回目のMDが終了し、俺が南野さんを呼び出ししファミレスで会った時だ。そして、その前に君はさりげなく、俺に南野さんを呼び出す様に促した。俺も南野さんに言いたい事があるから付いて行くと言った。それは、南野さんに言いたい事があったから付いて来たのではなく、南野さんからMDの質問に対する回答の情報を訊く機会が出来る為に付いて来たんだったんだ」 「で俺がその時一体、何を訊いたんだよ」 「あの時、君はバイトを理由に一回目のMDの際、俺の家に来なかった南野さんに怒りを露わにしていた。そして、君は「所で、南野さんバイトってそんなにお金が必要なんですか?」、「だったら、自分がMDに参加して、一億円を手に入れれば良いじゃないですか?」、「南野さんって物欲ってないんですか」、「海外旅行行ってみたいとか、家とか車が欲しいとかないんですね」とさりげなくMDの質問二十三、「もし、一億円が手に入ったらその使い道は?」、質問十六、「行った事のある外国数は?」の南野さんの回答を手に入れようとしたんだ。そして、南野さんはそれに答えてしまった。その時、まさか主催者Xが用意した自分を殺す人物だとは露知らずに」 「でも、南野さんが第二回目のMDで最初の方に嘘を付くとは限らないじゃないか?それだったら全てが台無しになるじゃないか」 「南野さんは陰の共犯者から第二回目のMDではなるべく最初の方に嘘を消化した方が良いと言われていたんだ。何故なら、そうしなければ、プレイヤーの入れ替えがあった事が他のプレイヤーに解りやすくなるからだ。後の方が個人情報の質問が出やすいから、なるべく早く嘘を消化した方が良いからな。そして、実際にライフポイントを減らしたのは君と組んでいたLEOだった。そして、LEOの正体はその時まだMDに参加していなかった君は陰の共犯者から直接、LEOの正体を聞けるんだ。この情報はそもそも事前に回答した内容ではなく、主催者Xが指名した人物の情報だから、教えても問題はない。そして、君はLEOに個別に連絡を取り、KYUM潰しに掛かったんだ」 「しかし、最後、南野さんは自滅で敗北したじゃないか。俺が南野さんを洗脳し、ダウト宣言させたとでも言うのか?それともその最後の手も、俺が仕組んだ事なのか?」 「ああ、君は、いや、主催者X側は南野さんを洗脳し、最後、SAOに対しダウト宣言をさせたんだ。そして、それは別の方法で君は南野さんの唯一あった残りのライフポイント1を奪い取ったんだ」 「何なんだ?その方法とは?」 「まずその為には、事前に遠野さんが南野さんにある魔法の言葉を掛ける必要があったんだ」 「何なんだ、その魔法の言葉とは?」 「第二回目のMDが始まる前に一言、こう言うんだ。「もし貴方がMDで敗北のピンチになった時、職業や年収の質問で私が明らかな嘘を付きますから、それに対しダウト宣言して下さい」と。つまり、南野さんの残りのライフポイント1で2に増やしたい時、MDの敗北のピンチであるから、その時に君が本当の事を書けば、南野さんのライフポイントを確実に0に出来るんだ。君の職業は高校生だ。そして、遠野さんの職業はツインホテルの時はフリーライターだったが、本当は殺人代行者だ。よって、この時、嘘を付かなければならないという事を南野さんは解っていたんだ。だから、ここぞというばかりに、君の「高校生」という回答に対し、ダウト宣言をしたんだ。それは南野さんの中ではSAOは嘘を付いている事は決定だからな。つまり、職業や年収といったSAOが嘘を付かなければならない尚且つ、南野さんと君が共通していない回答尚且つ、君が本当の事を書ける質問の回答を君は南野さんを死に送る道具に使ったんだ。そういった質問はプレイヤー全員の認識が、他の質問をして他のプレイヤーの情報を手に入れられる可能性があるから、後の方に選ぶという流れだった。よって、主催者側と君はその時まだそういった質問が残っていると考えたんだ。そして、君が職業の質問をして、本当の回答を出し、南野さんが君にダウト宣言をし、それが失敗に終わり、ライフポイントが0になるというシナリオ通りの結果になったんだ。しかし、君はこの高校生という回答で俺にフクマデンの正体の大きなヒントを与える事になってしまった」 「しかし、もし俺にダウト宣言する前に他のプレイヤーが俺に対しダウト宣言したり、俺がその質問をするタイミングの前に俺の質問の順番が来てしまったり、第一回目や第二回目のMDで俺が質問を選ぶ前にその質問を他のプレイヤーがその手の質問を選んでしてしまったら、どうするつもりなんだ?」 「いや、南野さんは真っ先に君に対し、ダウト宣言する筈だ。何故なら、もう後がない状態で確実にライフポイントを増やせるのをみすみす逃す筈がないという心理が働いて、一目散に君に対してダウト宣言するからだ。実際にプレイヤーの回答が全員出た直後に、南野さんはダウト宣言をした。そして、もし第一回目や第二回目のMDで俺が質問を選ぶ前に職業や年収といった質問を他のプレイヤーが選んでしてしまったら、君はファミレスの時、南野さんから三つの情報を訊けば良い。君がファミレスで南野さんから質問の回答内容を訊いたのは第一回目のMD後だった。だから、第一回目のMDでの質問の動向を見て、訊く回数を自由に調整出来るんだ。この最後に言った南野さんのライフポイントを0にする方法はあくまで、君がフクマデンだと気付かれにくくする為の二重策に過ぎない。もし、何らかの事情で駄目なら、その手を使わなければ良いだけの話だからな。そして、君が職業や年収の質問をするタイミングの前に質問の順番が来てしまったり、第一回目や第二回目のMDで俺が質問を選ぶ前にその質問を他のプレイヤーがそれらの質問を選んでしてしまったらという話だが、一番手っとり早いのは主催者Xと協力して、質問の順番を君がそうなりたいように細工する事だ。しかし、それはMDの規約に違反するから、主催者Xの方でクジ引きの順番は都合が良い様に調節出来ない。しかし、そんな事しなくても君は自然に君に取って都合が良く、MDを進められる事が出来たんだ」 「はぁ、何でだ?」 「何故ならば、第二回目のMDでの参加プレイヤーはREDPALがいなくなり、七人だったからだ。つまり、第二回目のMDが始まる時点では残りの質問十八個の内、全体で七つ選ばれるという事になる。それを考えると、君の相棒のLEOは第二回目のMDが始まる時点でライフポイントが3だった南野さんに対して、最低二回の質問機会で君の質問が回って来る前に南野さんのライフポイントを1にする作業をしなければならない。つまり、君が質問の順番が三番目以降になりさえすれば、何時でも南野さんのライフポイントを0にする事が出来るという事だ。そして、例え君の質問をする順番が一番目、二番目になったつまり、南野さんのライフポイントを1にする前に順番が来てしまっても、事前にそういう事態になったら遠野さんが南野さんに「貴方が年収や職業の質問をして下さい」と言えば、南野さんがその質問を自らしてくれるから、そういう事態になっても、その時には南野さんのライフポイントが1になった時点であるから、君は南野さんのライフポイントを0に出来るんだ。そして、君がその質問を選ぶ前に誰かが選んでしまっても、第二回目のMDで質問が三番目の以降ならば、君が南野さんのライフポイントを0にする事が出来る。何故なら、その時には既に南野さんのライフポイントは1だから、別に誰がその質問を選んでも良いからな。そして、さっきも言ったがプレイヤー全員の認識が年収や職業といった質問はその前に色々出た質問の正誤の情報から後で予想しやすいから、後の方に回すという事だったから、第一回目のMDの質問で選ばれにくい。実際に選ばれなかったしな。一番目と二番目の質問で職業と年収がセットで選ばれる確率は14C5/16C7=2002/11440つまり、17.5%でしか選ばれない。これは相当低い確率だ。しかも、その場合は君が一番目と二番目の質問者になった場合は含まれない。その中でさらにその二つの質問の内、君の順番が回って来る前にそれがなくなるとは考えにくい。そして、南野さんと君が一番目と二番目の質問者になる確率は2!×5!/7!つまり2×1×5×4×3×2×1/7×6×5×4×3×2×1=1/21=4・76%という事になり、さらに低い確率になる。つまり、君が第二回目のMDで南野さんのライフポイントを0に出来ないのは君と南野さんが質問する順番が一番目と二番目になり、尚且つ、十四個の質問で残り五つのチャンスで誰も職業と年収の質問を選ばなかった場合だけだ。前者の確率はさっきも言った通り4.76%。後者の確率は12C5/14C5=36/91=39.56%=39.56%。つまり、君が二回目のMDで南野さんのライフポイントを0に出来ない確率は4.76%×39・56%=1・88%という事になる。それでも、運悪くその確率に当たってしまったら、第三回目のMDで南野さんを負かせば良いだけの話だ。そうすれば、確実に南野さんの残りのライフポイントを0に出来る。何故なら、その時にはプレイヤーの参加者が7人のままであろうから、第三回目のMDで最後まで選ばれない質問は二つとなり、君と南野さんは絶対に一つの質問が出来るから、残り物の二つの質問を職業と年収にならない様に出来るんだ。つまり、君は確実にMDで南野さんを敗北させる事が出来るんだ」 「・・・・・でも、SAOがもし南野さんを負かす前に敗北してしまったら、例えば、第一回目のSAOで敗北してしまったらどうするつもりだったんだ?」 「その可能性は低い。何故なら、君と違い他のプレイヤー達の目的はあくまで優勝する事であって、他のプレイヤーを殺害する事ではない。その優勝する為にライフポイントを増やす手段として、他のプレイヤーのライフポイントを奪うんだ。他のプレイヤーにとっては敗北のピンチにいるプレイヤーからライフポイントを奪うという行為は相当精神的に辛い事で、一生のトラウマになる可能性があり、普通あまりやりたくない事だ。何故なら、幾らゲームのルールに則っていると言っても、自分の意思で他人を殺害するという事になるからな。そして、自分がライフポイント1の時につまり自分が死の淵に立たされている時にダウト宣言する勇気は相当なもので、大きな自信がなければ出来ない事だ。それならば、いっそ優勝を諦めて、生き延びるという選択肢をした方が賢明だともとれる。だから、MDで敗北者が出るというのは本来、非常に低い確率で成り立っている。つまり、南野さんが君に敗北させられる前に、第一回目のMDで敗北するというのは余程の事がない限りないと言っても良いという事になる。そして、第二回目のMDの敗北直後、南野さんはまさか、仲間である筈のSAOに負かされるなんて思いもよらなかっただろう。しかし、これも主催者Xが自分には伝えていない何かの作戦やトラブルだと思ってあの時、冷静だったんだ」
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