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一 終わりは始まり
「なんかダルくなった」
つき合い始めて一ヶ月の彼氏に告げられた別れの理由は、そんな一言だった。
「なんで? それじゃ納得できないよ!」
腕を掴んで食い下がる私を軽く振り払った彼は、
「……そういうとこ」
ため息混じりに吐き捨てて、それ以上振り返ることなく私から離れていった。
人通りの多い駅前で取り残されたみじめな女子高生に、特段の関心も無さそうな視線がパラパラと向けられる。
また失ってしまった。
私は中学生の頃から、かわるがわる男子と交際してきた。すぐに終わったつき合いもあれば、半年くらい続いた恋もあったけど、ほとんどの場合、相手から言い寄ってきたくせに最後は私を捨てていった。
私のことをずっと好きでいてくれる人なんて、この世のどこにもいないんだろうか。
そんな思いに支配され、ロータリーの車止めに腰掛けて通学鞄を両脚の間にぶら下げたまま、動けなくなってしまった。
心の支えを失った今、これ以上生きている意味なんてあるんだろうか。
もう何もかもどうでもいい。このまま日が落ちて世界が暗くなったら、私も闇に消し去ってくれればいいのに。
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