十三 壊れる均衡

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 私はしびれを切らして通話ボタンを押した。  十秒……二十秒……三十秒待っても、悠真は通話に出ない。  一度切ってから、もう一度押す。繋がらない。  どうして? そこにいるんでしょう? 悠真だって、私と話したいでしょう?  それとも颯が学校に戻ったの? 颯が戻ってきたから対応できずにいるの?  ああ、どうすればいいんだろう。  ベッドに横向きに転がったまま画面を見つめていたら、突如新しいメッセージが追加された。  返事が来た……! と喜びかけたのはわずか一瞬にも満たない時間。 “は? 意味わからん”  非情な悠真の言葉が、私に冷水を浴びせた。  すぐにでも悠真と話がしたいという希望に満ちた熱意は吹き飛び、一転して体がすくむ。  ただ意地を張ってるだけかもしれない。  ここでもっと押せば、悠真の態度も軟化するかもしれない。  悠真を好きだと、また彼女にしてほしいと、素直に伝えたら、きっと悠真だって気持ちを抑えられなくなるはずだ。  
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