十三 壊れる均衡

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 そう思うといてもたってもいられなくなった。  抑えられない。  今すぐ教室に入っていって想いを伝えたい。  でも、颯の目の前でそんなことをするわけにはいかない。  彼氏の前で、元カレに告白するなんて、さすがにルール違反だって私にもわかる。  ああ、でも、どうしたらいいんだろう。  私は床に座り込んだまま、両腕で自分をぎゅうっと抱きしめるようにして衝動をどうにか抑え込んだ。  このまま中に戻っても、冷静でいられる自信がない。それに、手ぶらで財布を取りに戻るには、時間が経ちすぎてしまった。  どうしようかしばらく考えた後、私はそっと立ち上がり、その場を離れた。  そして、上履きを靴に履き替えてから自販機へ向かい、颯にLINEを送った。  
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