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「あれ? 晴じゃん」
「ほんとだ。何してんの?」
思考の暗闇から私を引き戻したのは、二人組の制服姿の男子だった。
一人は同い年の悠真。もう一人は一つ下の颯。私が通う通信制高校の、とりわけ仲の良い友達だ。
「なんかあった? 暗い顔してるけど」
悠真がのぞき込んできたので、私はとっさに顔を背けた。
けど心のどこかで、気のおけない二人に見つけてもらえたことに安心してもいた。
「……あのね」
口を開くと、涙がこぼれそうになって、ぐっと唇を結んでからまた言い直す。
「……あのね、私、尊に振られちゃった」
「えっ」
少しの間、沈黙が続いた。
気まずそうに顔を見合わせる二人に、いたたまれなくなって、私は場を繕おうと笑顔を作った。
「あはは、やんなるよねぇ、ほんと。こんな場所で置いてかれたほうの身にもなってほしいよ!」
「晴……」
「はは……。さて、帰んなきゃ」
私は重い腰を持ち上げて、スカートの裾を軽く払った。
「おい悠真、送ってってやれよ」
颯が悠真の肩をポンと叩く。
「俺も一緒に行ってやりたいけど、今日は早く帰れって親に言われちゃってんだよね」
「颯……」
「いいよ、私は一人で大丈夫!」
空元気を出して両手を左右に振ると、
「いや、送ってく」
悠真はそう言って、私の鞄を手に取った。
「悠真……」
「ほら、行くぞ。じゃ颯、また明日な」
「おー。バイバイ、晴」
「うん……」
私は颯に見送られながら、先に歩き出した悠真の後を、救われたような気持ちで追いかけた。

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