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【3】Killer Fairy
〜現在〜
墨田区京島にある都立生物学研究所。
佐橋友之の不在を狙って、彼を訪ねた桐谷。
「あいにく佐橋は、今日は休みなんです」
「そうですか…ご友人の葛城博士から渡す物を頼まれまして。急ぐ様なので、ご自宅の住所は分かるでしょうか?」
「あ、葛城博士からですか。あの…葛城さんとは何をやっているんでしょうか?。おかげでこちらには滅多に来なくなって、困ってるんです」
「そうなんですか…私から葛城博士には注意しておきますね」
「ホントですか!よろしくお願いします。えっと…住所は…こちらです」
スマホに登録してある住所を見せる。
「分かりました。では、失礼します」
「えっ?スマホに送りましょうか?」
「いえ、覚えましたので」
人差し指でこめかみを指す桐谷。
覚えるつもりで見たものは忘れない。
「はぁ…そうですか」
玄関前に停めていた白のフェラーリSF90ストラダーレに、スマホで写真を撮る人達が群がっている。
受付からも見えていた。
…寄らないつもり、バレバレである。
「ちょっとごめんなさいね」
シャネルのセクシーなスーツ姿。
一目で持ち主と分かる。
すかさずサングラスをかける桐谷。
「撮るのはフェラーリだけよ」
一応無駄な忠告をして乗り込む。
(全く…ラブがくれる服は目立ち過ぎだわ💧)
とボヤきはするものの、十分着こなしている桐谷もさすがである。
ボイスでナビを設定し、軽くクラクションを鳴らして走り出す。
余命一月と宣告されるまで、CIAエージェントとして優秀だった彼女。
引退して祖国の日本へ帰り、今ではラブの下で働いている。
TERRAの進んだ医療技術でも、手は付けられず、ラブの血を輸血することで生かされた。
刑事課の神崎昴もその1人。
昴は紗夜と似た様な、読心能力を受け継いだ。
桐谷の場合は、並外れた反射神経と動体視力。
受け継ぐ能力は、潜在的なDNA構造によって、違ってくることが分かった。
目が覚めて暫くは、その能力に戸惑い、TERRAの極秘エリアで慣れるまで訓練した。
10mの距離から放たれた銃弾でさえ、容易く避けることができる。
ナビが告げた時刻の半分で、目的地に着いた。
☆フェラーリSF90ストラダーレ☆
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