92人が本棚に入れています
本棚に追加
〜イースター島〜
翌日。
マタベリ空港にヘリを預け、搭載しているバイクで、10kmほど東にある、ロシア人の研究ラボへ向かう凛。
途中から敢えて道を外れ、オフロード仕様に切り替える。
ジープが2台、つけて来ていたのである。
林の中を抜けて近道をとる。
さすがにバイクには追いつけない。
手早くラボに侵入したが、既に荒らされた後で、暫く探したが目ぼしいものはない。
ただ、鍵の掛けられた扉があった。
表から車の停まる音。
(意外に早いな)
扉に小型の爆薬をセットした。
「ドン💥」
鈍い音と共に、壁から扉が外れる。
中へLEDライトを照らした途端。
「うわっ!」
沢山の蝶が、真っ暗な部屋から飛び出した。
群れとなって玄関の方へと飛んで行く。
(ん…死臭…人ではない。獣か)
暗い小部屋には、動物の死骸が一体。
と、その時。
「バババババ…!」「ダダダダ…!」
表で激しい銃撃戦が始まった。
ほんの数秒間。
静かになった表へ、警戒しつつ出た凛。
(何なんだ、コイツら?)
5人の男達が至近距離で撃ち合い、全員死亡していた。
(私の賞金でも狙って、仲間割れか?)
釈然としない凛が、身元を調べる。
(ロシアの傭兵か…ん?)
破れたシャツから、腕のタトゥーが見えた。
写真を撮り、TERRAのマザーシステムAIに送る。
そして、もう一度ラボへ戻り、入念に探した。
(殺しに来るなら、何かまだあるはず)
プロの凛にして、特に何も見つけられない。
気になるとすれば、壁の不規則な模様。
念のために写真に撮り、爆薬を仕掛けて出る。
空港へ着くまでの間に、爆破した。
住民が減り、観光客もいない静かな風景。
そこに佇むモアイ像達。
暫しバイクを停めて、哀し気なその姿を見つめる凛であった。
最初のコメントを投稿しよう!