【1】謎の孤島

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〜イースター島〜 翌日。 マタベリ空港にヘリを預け、搭載しているバイクで、10kmほど東にある、ロシア人の研究ラボへ向かう凛。 途中から敢えて道を外れ、オフロード仕様に切り替える。 ジープが2台、つけて来ていたのである。 林の中を抜けて近道をとる。 さすがにバイクには追いつけない。 手早くラボに侵入したが、既に荒らされた後で、暫く探したが目ぼしいものはない。 ただ、鍵の掛けられた扉があった。 表から車の停まる音。 (意外に早いな) 扉に小型の爆薬をセットした。 「ドン💥」 鈍い音と共に、壁から扉が外れる。 中へLEDライトを照らした途端。 「うわっ!」 沢山の蝶が、真っ暗な部屋から飛び出した。 群れとなって玄関の方へと飛んで行く。 (ん…死臭…人ではない。獣か) 暗い小部屋には、動物の死骸が一体。 と、その時。 「バババババ…!」「ダダダダ…!」 表で激しい銃撃戦が始まった。 ほんの数秒間。 静かになった表へ、警戒しつつ出た凛。 (何なんだ、コイツら?) 5人の男達が至近距離で撃ち合い、全員死亡していた。 (私の賞金でも狙って、仲間割れか?) 釈然としない凛が、身元を調べる。 (ロシアの傭兵か…ん?) 破れたシャツから、腕のタトゥーが見えた。 写真を撮り、TERRAのマザーシステムAI(アイ)に送る。 そして、もう一度ラボへ戻り、入念に探した。 (殺しに来るなら、何かまだあるはず) プロの凛にして、特に何も見つけられない。 気になるとすれば、壁の不規則な模様。 念のために写真に撮り、爆薬を仕掛けて出る。 空港へ着くまでの間に、爆破した。 住民が減り、観光客もいない静かな風景。 そこに(たたず)むモアイ像達。 暫しバイクを停めて、哀し気なその姿を見つめる凛であった。
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