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〜霞ヶ関〜
警視庁本部のそばにある、セレモニーホール。
先日、道路や石油プラント等4件の爆破と、タンカー爆破計画で、東京を大混乱させた事件。
その解決や救助に貢献した者に感謝し、賞する催しが開かれていた。
警察や消防士、救命士、医療関係者ではなく、その場に居合わせた一般の者達である。
壇上には、警視庁幹部と、富士本恭介、鳳来咲、宮本紗夜、土屋香織、そして息子の写真を持った土門署長がいた。
花山警視総監の挨拶の後、月島風花、平泉結女の他、12名が次々と呼ばれ、感謝状と花束を授与されて行く。
その最後。
「飛鳥神様」が…呼ばれた。
会場に集まった警察官には、あらかじめ騒がぬ様に説明してある。
念のため、咲が下りて付き添い、黒い正装の神が壇上に上がる。
明らかに…カキンコキンに緊張してるのが分かり、違う騒めきが起きる。
「なに緊張してんのよ💧」
「し…仕方ねぇだろ💦」
小声で囁き合う2人。
笑顔の花山から感謝状を受け取る。
確かに…あり得ない風景である。
誰もがそう思った。
内心ホッとした花山。
次に花山の孫娘、智代梨が、花束を渡した。
これまた、不釣り合いな風景である💧
と…その時。
智代梨の肩から、花の匂いを追ってか、あの蝶が神の方へと飛んだ。
最初は緊張で気付かなかった神。
しかし、目の前に来た途端。
「なっ⁉️うわぁ〜❗️」
蝶を叩き落とそうと、花束を振った。
これも意外。
虫が殺し屋より怖い神であった。
これが不運の始まりとなる。
花束を交わした蝶が、神に向かって飛んだ。
その僅か3秒。
会場と壇上の警官が、自分に敵意を持って銃を向けている事に気付いた神。
咄嗟の防衛本能で、そばにいた咲の懐から銃を奪い、警察の長である花山に銃口を向けた。
「神⁉️」「パンッ❗️」
咲の叫びと銃声が重なる。
花山を囲み、逃がす警官達。
銃を持った手を撃たれ、膝をつく神。
紗夜の銃口から、硝煙が上がっていた。
無意識に危機を察知した行動に、自らも信じられず、構えたまま固まっている。
殺到する警官達。
咲を押し退けて神を確保した。
「神❗️」
「な、何だ⁉️咲❗️」
叫びながら連行されて行く。
泣き出す智代梨を土屋が抱いて出て行った。
「何で、何で撃ったのよ紗夜❗️」
咲が紗夜に食いかかる。
「咲、やめろ!仕方なかったんだ」
富士本がそれを止める。
「だ…だって…私…無我夢中で」
「紗夜、シッカリしろ!お前は警視総監を守っただけだ」
夫の淳一が抱きしめる。
こうして飛鳥神は、花山警視総監襲撃未遂犯として、逮捕されたのであった。
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