【2】始まり

3/6
前へ
/26ページ
次へ
〜霞ヶ関〜 警視庁本部のそばにある、セレモニーホール。 先日、道路や石油プラント等4件の爆破と、タンカー爆破計画で、東京を大混乱させた事件。 その解決や救助に貢献した者に感謝し、賞する催しが開かれていた。 警察や消防士、救命士、医療関係者ではなく、その場に居合わせた一般の者達である。 壇上には、警視庁幹部と、富士本恭介、鳳来咲、宮本紗夜、土屋香織、そして息子の写真を持った土門署長がいた。 花山警視総監の挨拶の後、月島風花、平泉結女の他、12名が次々と呼ばれ、感謝状と花束を授与されて行く。 その最後。 「飛鳥神様」が…呼ばれた。 会場に集まった警察官には、あらかじめ騒がぬ様に説明してある。 念のため、咲が下りて付き添い、黒い正装の(じん)が壇上に上がる。 明らかに…カキンコキンに緊張してるのが分かり、違う騒めきが起きる。 「なに緊張してんのよ💧」 「し…仕方ねぇだろ💦」 小声で囁き合う2人。 笑顔の花山から感謝状を受け取る。 確かに…あり得ない風景である。 誰もがそう思った。 内心ホッとした花山。 次に花山の孫娘、智代梨(ちより)が、花束を渡した。 これまた、不釣り合いな風景である💧 と…その時。 智代梨の肩から、花の匂いを追ってか、あの蝶が神の方へと飛んだ。 最初は緊張で気付かなかった神。 しかし、目の前に来た途端。 「なっ⁉️うわぁ〜❗️」 蝶を叩き落とそうと、花束を振った。 これも意外。 虫が殺し屋より怖い神であった。 これが不運の始まりとなる。 花束を交わした蝶が、神に向かって飛んだ。 その僅か3秒。 会場と壇上の警官が、自分に敵意を持って銃を向けている事に気付いた神。 咄嗟の防衛本能で、そばにいた咲の懐から銃を奪い、警察の長である花山に銃口を向けた。 「神⁉️」「パンッ❗️」 咲の叫びと銃声が重なる。 花山を囲み、逃がす警官達。 銃を持った手を撃たれ、膝をつく神。 紗夜の銃口から、硝煙が上がっていた。 無意識に危機を察知した行動に、自らも信じられず、構えたまま固まっている。 殺到する警官達。 咲を押し退けて神を確保した。 「神❗️」 「な、何だ⁉️咲❗️」 叫びながら連行されて行く。 泣き出す智代梨を土屋が抱いて出て行った。 「何で、何で撃ったのよ紗夜❗️」 咲が紗夜に食いかかる。 「咲、やめろ!仕方なかったんだ」 富士本がそれを止める。 「だ…だって…私…無我夢中で」 「紗夜、シッカリしろ!お前は警視総監を守っただけだ」 夫の淳一が抱きしめる。 こうして飛鳥神は、花山警視総監襲撃未遂犯として、逮捕されたのであった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加