【2】始まり

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〜警視庁捜査本部刑事課〜 紗夜からの連絡を受けた富士本。 困り切った顔に、土屋が問いかける。 「紗夜さん達に何か?」 「淳が事件に巻き込まれ…練馬署に拘束されてしまった様だ。全くどうなってるんだか…」 しかし、事態はそれでは収まらなかった。 その直後、刑事課の電話が鳴った。 他にはおらず、土屋が出る。 「はい、警視庁刑事課です。事件ですか?」 少し話を聞いていた土屋。 「そんな⁉️なんということ❗️」 冷静な彼女の大声に、駆け寄って受話器を奪う富士本。 「部長の富士本だが、何があった?」 上の階に通じる奥の階段へと、慌てて駆けて行く土屋。 力なく受話器を置いた富士本が、呆然とその姿を見送る。 〜4階 鑑識部〜 ヒールを脱がしながら、転がる様に上がって来た土屋。 「と…豊川さん!大変なことが❗️」 「何なんだ、あんたがそんなに慌てて。どうした?」 「今、目黒署から通り魔の通報があって…」 「通り魔?そりゃアンタらの仕事だろうが?」 「違うんです!雅恵さんが❗️」 「なに?うちの雅恵がどうした⁉️」 尋常じゃない様子に、刑事の勘が働く。 「子供を庇って刺され、今病院へ❗️」 「何だと⁉️どこだ?どこの病院だ⁉️」 「目黒の北川総合病院です!」 聞き終わるより早く、走って出て行く豊川。 話が聞こえた部下達が、オロオロと戸惑う。 その場に座り込んだ土屋。 電話では、心肺停止状態で搬送と聞いていた。 「いったい何が起きてるの…」 ふと、入院している夫の戸澤が心配になった。 慌てて刑事課に降りて行き、富士本に言う間も惜しんで出て行った。 すれ違いで、TERRAの桐谷美月が入って来た。 「淳一さんの事を聞きました。ラブが手伝う様にと。土屋さん、あんなに慌てて何処へ?」 「恐らく、戸澤のところだ。飛鳥神の次は淳一、それから今度は豊川さんの奥さんまで…夫のことが心配になったのだろう」 「実は、似た様な事件が、世界中で起きているんです。突然狂って人を襲ったり、自殺したりと…今情報を集めていますが、いずれも今のところ原因は不明です」 「そうなのか?それにしても、ここは狙われているとしか思えん。桐谷さん、あなたも気をつける様に」 「私の心配より、富士本さんは自分とご家族の安全を考えて下さい。みんなの穴埋めは、私と凛が手伝いますので」 「ありがたい。警察でもないあなた方にすまないが、正直なところ助かるよ」 「ある意味私と凛は、警察以上ですのでお任せ下さい」 元凄腕のCIAエージェントと、伝説の暗殺者(アサシン)。 最強のタッグである。
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