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パティシエ修行
今日は、私――森川 結月が内定をもらった洋菓子店『パティスリー・トモ』で初めて働く日。
今はまだ専門学校生だからフルでは入れないけれど、研修を兼ねてアルバイトとして入社する。
学校が休日の今日は、朝から夕方までの勤務の予定だ。
オーナーシェフの松野 友季さんとは前から顔見知りだけれど……
プライベートと仕事ではきっと全然雰囲気が違う。
知り合いだからって甘えないようにしなくては。
とにかく、一日でも早く仕事を覚えて、あのお店の戦力にならなくちゃ。
制服はお店で着替えるので、通勤の服は特に指定はないらしく。
それでも初出勤日なので、カジュアル過ぎないキレイめの服装で行くことにした。
そして、
「ゆづー。一応、弁当作ったけど……」
私のことを“ゆづ”と呼んだ彼――間宮 直人が、淡いピンク色の巾着袋を差し出してきた。
彼は私の幼なじみで……私の、とてもとても大好きな彼氏。
子供の頃から料理が得意な彼は、現在イタリアンレストランの料理人をしていて。
今日は彼も出勤日で、自分の分のついでに私のお弁当を作ってくれたのだ。
「わ! ありがとう、ナオくん!」
お弁当を両手で受け取ってそう言うと、
「ん」
ナオくんは少しだけ照れくさそうな顔をしながら短く返事をした。
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