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ダイニングテーブルに2人で向かい合って座って、ナオくんが温め直してくれたスープを飲む。
じっくりと炒めてから煮詰められた玉ねぎの甘みと旨みが美味しくて、
「はぁ……」
思わず溜息が零れる程。
結構手間も時間もかかるレシピのはずだから、私のメッセージを見てから作ったとは思えなくて。
「今日は元々、スープの予定だったの?」
私の質問に、口に運ぼうとしていたスプーンを止めたナオくんが顔を上げて私を見る。
「うん。俺が今の店に初出勤した時も緊張と疲れで食欲出なかったから。ゆづもそうなるかなと思って」
そう言ってナオくんはふわりと優しく微笑んだ。
「特にゆづはこういう時、本当に何も食べなくなるから。ゆづの好きなスープなら食べてくれるかなって」
そんなナオくんに、じわりと涙腺が緩みそうになる。
「ナオくん……絶対いいお嫁さんになるよ」
それはもう、私なんかよりもずっと。
至極真面目に呟いた私の台詞に、
「……」
それまで笑顔だったナオくんが、突然ムッとした表情を見せた。
「ゆづが俺のお嫁さんになってくれるって話は?」
「え……」
あまりにも鋭く睨みつけられて、私は慌ててスプーンをカップの中に置いてナオくんの目をじっと見つめる。
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