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「俺はゆづをお嫁さんにするつもりでいるんだけど、ゆづはそうじゃないの?」
酷く険しい表情を見せるナオくん。
そんなつもりで言ったんじゃないのに。
ナオくんの険しい顔をずっとは見ていられなくて、思わず俯く。
「あの……私はナオくんみたいに気が利くわけじゃないし」
「俺も気は利かない方。俺が優しくするのは、ゆづに対してだけ」
「……お料理だって、物凄く上手ってわけでもないし」
「俺はゆづの作ってくれたメシも美味いと思うよ」
「……」
お世辞を言っているようには見えないからこそ、何と答えていいのか分からない。
「そんな理由じゃ、断る理由にはならないから」
断るって、何の話?
そう訊ねようと顔を上げた瞬間、
「俺と結婚しよう、ゆづ」
私のスープマグのすぐ隣に、薄いピンク色の小さな箱が置かれた。
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