パティシエ修行

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かけていたサングラスを外した彼は、やっぱり今朝私を見送ってくれたナオくんで、 「……松野さん、ゆづに近付きすぎ」 その顔はとても不機嫌そうな表情をしていた。 けれど、 「きゃー! イケメンが2人!」 サングラスなしだとその麗しいナオくんの顔が露わになったので、周りの女性客たちが騒ぎ始めた。 すぐ近くに友季さんもいるので、この2人が揃うと目立つことこの上ない。 周りがざわざわと騒いでいるのに、 「しかも、中にいるあのチャラ男は誰だよ。ゆづとの距離感おかしいだろ」 「あー……坂下のことかな、それ」 当のイケメン2人はそれを全く気にした素振りも見せずに話を進める。 人に注目されることに慣れている彼らは、こんなことでは一々動じないらしい。 「立派なセクハラだぞ、あれは」 「悪い。それは後で注意しとく」 どんどん話を進めていく2人に、周囲の視線を気にしている私は全くついていけない。 「で? 今日、仕事は?」 友季さんの質問に、ナオくんはとてもバツが悪そうに私の顔をちらりと見上げてから、 「……元から休み」 ぼそりと呟くように吐き出した。 「え……?」 じゃあ、ナオくんの分のに私のお弁当を作ってくれたというのも、やっぱり嘘なんだ。
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