パティシエ修行

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初日の仕事を終えて、もう暗くなりかけている帰路をとぼとぼと歩く。 私の夢見ていた世界は、想像以上にハードな世界であることが今日一日だけで十分に理解出来た。 もちろん、そんなことくらいで夢を諦めたりなんてするわけはないけど。 でも…… 「つ、疲れた……」 かつてない程の疲労感にやられて、体がバラバラになりそうだ。 ナオくんの作ってくれたお弁当はお昼休憩の時にとても美味しく頂いたけれど、今は疲れすぎて食欲も湧かない。 晩ご飯は食べられないかもしれない。 昔から、体調を崩すとご飯を全く食べなくなる私は、疲れすぎても食欲を失くす。 おそらく晩ご飯の用意をしてくれているであろうナオくんにはお店を出る前に、今から帰ることとご飯は要らない旨のメッセージを送っておいた。 だから、帰ったらシャワーを浴びてさっさと寝てしまおう。 そんなことを考えながらナオくんの部屋の玄関扉を開けて、 「ただいまー」 中に入ると―― 私の大好きなオニオングラタンスープの美味しそうな香りと、 「おかえり。お疲れ様」 ナオくんのふんわりとした優しい笑顔が出迎えてくれた。
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