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想いのままに綴った言葉が数多の情報に押し流されていく。
人に関心を持つようにと、彼女に勧められて始めたSNS。長らく放置してそれを再開したのは彼女の入院がきっかけだった。
仕事の愚痴をこぼすこともある。趣味になりつつあるゲームセンターでの成果を誇ることもある。ほぼ毎日書き続けているのは、入院している彼女のことだった。その日何を話をしたのか、彼女がどんな表情を浮かべたのか、他人から見ればただの惚気に聞こえるようなことを、恥じらいもなく書き続けている。
彼女のために何ができるのか、彼女のために何をすべきなのか、譫言のように垂れ流している。
──声が聞きたい。
誰の目にも留まることなく、激流の中の一滴の雫のように、どこ辿り着くのかもわからない言葉を見送ったあと、僕はスマホの電源を切り、眠りについた。
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