また明日

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 僕が病室に顔を出すと、彼女は待ってましたと言わんばかりに不満の言葉を並べたてた。  どうやら昨日の僕の所業に腹を立てているらしい。約束の時間に遅刻をして、寝ている彼女を起こしもせずに、黙って帰ったことがいけなかったようだ。枕元に置いたぬいぐるみもお詫びの品として受け取られてしまったらしく、打算的だと叱られた。  遅刻の理由を説明しても、彼女の機嫌は直らなかった。怒られている僕が時折にやけた顔を見せるせいで、火に油を注いでいるのはわかっている。それでも僕は、感情豊かな彼女の声を聴いているだけで、口元が揺るむのを抑えられなかった。  果ては、彼女の手の中で力任せに玩ばれているぬいぐるみを気の毒に思っていると、それをヒステリックに投げつけられる始末。床を転々と転がるぬいぐるみを拾い上げて彼女に返すと、しばらくしてまたぬいぐるみが飛んでくる。それをキャッチしたり、躱したりと、ぬいぐるみの応酬は面会時間の終了間際まで続けられた。  最後の方は彼女も笑っていたので、どうやら僕は許してもらえたようだ。
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