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「あ、名前、私レナ。石川麗奈です。今日はありがとうございました。初出勤なので、日報もどこまで書いていいのか分かんなくて。もういいって言って頂いて助かりました」
「あ、ああ。なるほど」
――んで、お礼にデート? そんなわけ無いよなあ。
「神谷さんは独身で彼女もいないって、清掃の方に教えてもらったので。デートに誘ってもいいかなあって」
「!?」
「いいですよね? 」
と言って白い綺麗な手を差し出してくる玲奈。
――石川って名字だよね、で麗奈が名前っつう事はハーフかな? いやソレよりも、良いのか?! イイのか? こんなんで良いの?!
こんなに可愛い子がいきなり30手前のおっさんにデートとか言っちゃって。
ドッキリじゃあないよね?
思わず周りを見回す祐一。
看板持ったスタッフもカメラマンも見当たらない。
――まーじーかー。
ドキドキしながら白魚のような指に触れ、続けて戸惑いがちに手を握る。
「ええと、はい。宜しく?」
「はい、こちらこそよろしくお願いしますね。じゃあ、早速ですが神谷さんのお家にお邪魔させて下さい」
「!!」
「嫌ですか?」
「い、嫌じゃないけど、いやでも、今日会ったばっかりでそれはちょっと・・・」
アタフタする祐一をみてクスクス笑ったあと、首をコテンと傾げて
「お願い♡ 」
と言われてしまい思わず首をタテにコクコクと振るだけの赤ベコになってしまった祐一を、多分誰も咎めない。
麗奈の前を歩いて案内をしようとすると、空いていた左の手に彼女の手が触れて自然と手を繋ぐ。
――この程度でドキドキしてしまう。中高校生か俺は!?
別に異性と付き合ったことが無いわけではない。それなりに恋愛経験もあるけど、最後はいつだったかな~ と思いを馳せる。
――最後の彼女は大学の頃だから、かれこれ6年くらい前か~。
彼の就職後にお互い気まずくなり疎遠になってそのまま自然消滅した。よくある話だ。
「神谷さん、下のお名前は?」
「祐一です」
「じゃあ、祐一さんて呼んでいいですか?」
下からニコニコして見上げてくる。
まつげが長くて二重でパッチリしてたアーモンド型の目は綺麗なグリーンだ。泣きぼくろが色っぽい。
ピンク色のプックリした唇を見てちょっとだけ生唾を飲み込んだ。
「あ、えと? うんまあ、いいよ」
「じゃあ、私のことは麗奈って呼んでくださいね」
「あ、はい」
エヘヘと嬉しそうに笑うとエクボができる。
――うわあ、何だこれ可愛すぎる。犯罪じゃね?
大丈夫かな俺の理性?
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