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「麗奈さん歳は?」
「今20歳です。今年の秋で21歳になります」
「俺、今年の春で29歳だから10歳近く違うし君から見たらオジさんでしょ?」
「ええぇ~? そんなことないですよ、優しいし、それに足めっちゃ長くてカッコいいですよ! 顔だって私の好みドンピシャです! それに」
え? この子本気?
「声がめっちゃ好きです!」
―― あ、来たよコレ、よく言われるやつだ~。声だけはイイよね~って学生時代から女子に言われてたヤツ。
もう本気で声優でいいかなと思うくらいよく言われたんだよな。ん? 待てよ、この子顔も好みとか言ってたな!?
「えと、顔?」
「はい、顔!」
――わービックリ。 俺自慢じゃないけど、普通の顔ですよ。
「どこにでもいる顔でしょ?! 」
思わず苦笑いになる祐一。
「そんなことないです!! 目は二重で大きくて優しそうだし。鼻だって高いし、口の形も綺麗だし。笑ったときにへにゃって顔が子供みたいになるでしょ?! メチャ好みです!」
「・・・・・」
――まあよく、あの短時間でそこまで観察できましたねこのダサメガネ掛けて見えない筈の俺の顔のこと。正直言っちゃうとちょっと引くよね~可愛いから許すけど・・・
イイのか俺?
「えーと、ソコまで褒められたのは初めてなんだけど」
「え、本当に? 皆見る目ないなあ。あ、眼鏡で顔が分かんないからかな? 前髪も長くて顔が半分隠れてるし」
「あー、長くなっちゃったよね。暫く散髪してないからなー」
「声は? 言われませんか?」
「あぁ、ソレはね・・・」
実は祐一は会社の中では殆ど喋らない。
ほぼ毎日、書類整理とデータチェックと判子で一日が終わる。昼は外で食べるし会社の中で会話するのは上司の大塚か同期の桜田くらいだ。
第一男ばっかりの部署なので声が良かろうが悪かろうが、お互い気にも止めないだろう。
会社に女性もいないわけではないが祐一の部署には一人しかいない。
しかもパートさんで接触は、ほぼ無い。
「会社では言われないね。学生の頃は言われることもあったけどね」
「良かった。じゃあ、ライバルは今はいないって事ですよね!」
「・・・うん、多分? 」
――何だろうライバルって、何だかどんどん押されているような気がしてきたぞ?!
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