濡れ衣と残ったもの

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濡れ衣と残ったもの

 「いらっしゃいませ。」  気分がどんよりしている状態で入った。 暗い表情に溜息、何かあったんだと 分かりやすい雰囲気だっただろう。  「一番度数が強いものが飲みたい。 踏ん切りをつけたいんだ。」  「踏ん切り……ですか?」  「ああ。振られた彼女に対する気持ちさ。」  「……それだけ愛していたのですね?」  「1年いたんだ、こんな俺でもいいと 言ってくれて。ネガティブだけどそれを 支えたいと思ったんだ。」  「なるほど。お酒は強いのですか?」  「いや、全く……下戸でさ。 俗にいう、ヤケ酒だよ。」
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