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七沢 由布(ななさわ ゆう)は、大学のベンチで人を待っていた。 「あれ、早いじゃん?」 石渡 詩(いしわたり うた)は同じサークルの後輩だ。 「いや、前の授業が早く終わっただけ」 由布は立ち上がって、一緒に歩き出した。 クラブハウスに入り、real estate clubの表札が出ている部屋に入った。 ここは宅地建物取引主任者の資格を目指す、学生のサークルだ。 由布の実家は、地方で不動産業を営んでいる。 宅建資格を取る条件で、東京に進学してきた。 資格の情報や対策のため、サークルには熱心に参加している。 「週末、何してたんですか?」詩が聞いてくる。 「覚えてない」本当だが、信じるはずもない。 「そんなはず無いでしょ」 うざくなった。 「詩君は私の彼氏じゃないでしょ。詮索しないで」 優しく言った。
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