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今日から私は生きていけるのか。
もしかしたら選択を間違えたんじゃないか。
「おお、オメエら今日を生ききる覚悟は出来てるだろうな?」
号令をかけるリーダーの男がその場にいる全員に問いかける。
その出で立ちは数多の命のやり取りをしてきた猛者の風格。
猛者の前にはそれに負けない屈強な身体つきの男たちがずらりと横並び。
その髪型はモヒカンにリーゼント、ツーブロック、その他凶暴な髪型が諸々。
顔には生傷が勲章のばかりにこさえており、全員がギラギラと見る者を一瞬でひるませる眼光をして立っていた。
そんな荘厳な連中の横並びの中央に私、天宮夏歩はいる。
「今日の戦場は今まで以上に荒れる。途中で倒れるような奴はハナからいらねぇ。テメェらは最後までついてこれるか」
号令をかけるリーダーの生きるか死ぬかの問いに横並びの屈強な男たちは静かに首肯く。
自分たちは最後まで戦う、と。
「よし、なら話は終わりだ……全員位置につけ」
皆はそれぞれ仲間たちに死ぬなよ、と目配せをし己の配置場所へ向かっていく。私も歩き出す。
これからこの場所は戦場になる。
まさに死闘が始まろうとしていた。
私は自分の役割を担う位置につく。
その手にはずっしりと重さを含むライフル……否、水を含んだスポンジ。
午前十一時三十分、開戦。
「いらっしゃいませエェェェエッ!!」
まあ厨房の話なんだが。
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