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「美味しいって感じるのは、体が欲している証拠なの。さて、始めましょうね。改めましてカウンセラーの志音です」
長い指で、名刺が
差し出された。
それを覗き込んで
優莉が、小さくお辞儀をする。
「はい、宜しくお願い致します」
志音もまた
小さくお辞儀をしてから
クリアファイルから
数枚の紙を取り出し
目を通す。
「スピリチュアルは初めて?」
「はい。今まで占いって、したことがなくて…」
紙をめくっていた
志音の手が留まる。
「あら、そう。でも正確に言えば、うちは占いじゃなくて、カウンセリングなんだけどね」
「え?違うんですか?」
「そうね。占いっていうのは、『こうですよ』って結果をお伝えする感じ。カウンセリングは、『あなたがどうしたいか』を引き出す感じかな。それとスピリチュアルをプラスして、見えない部分をアシストしながら、答えを導きだすっていう感じよ」
「そう、なんですか…」
あまり、よくわかっていない
様子の優莉に、志音は
いやいやと横に手を振る。
「まぁ、それはいいのよ。それで?占いには、どうして興味が湧かなかったの?」
また数枚の紙をめくりながら
志音は訊ねた。
「ん~…、占いっていうと、恋愛とかじゃないですか?だから、なんかそういうのって、私には縁がないし…」
モジモジと答える優莉に
志音は、また手を止めた。
「その自信の無さは、どこからきてるのかしら?」
「どこって…?」
不思議そうに見つめて来る
目の前の美女に、何かしら
答えなければと悩んでいるうちに
優莉は、姉の顔が浮かんだ。
「あ…たぶん、ですけど、姉と比べられて育ってきたから…かな」
「あ~、なるほどね。うんうん」
すると、一枚の紙を取り出して
志音は、納得したように頷いた。
「あなたの両親、幼いのね」
「幼い?」
今まで聞いたことのない
『数え方』に、優莉は
困惑していた。
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