龍肉のシチュー

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それからのことは、すべて後になってから聞いた話です。 屠竜隊という、龍を専門に狩る組織があること。 今でも世界中で龍を追っていること。 ロイおじいさんが、かつて屠竜隊の一員であったこと。 龍肉は人間の口には合わないこと。 龍の価値は肉ではなく、牙と血にあること。 独占を防ぐため、古くから情報操作が行われていること。 旅先でシェフは屠竜隊と出会い、龍肉を託されたこと。 ロイおじいさんに食べてもらうため、海原亭で大々的に宣伝したこと。 肉がなくなる前に来てくれてよかったと、シェフは笑って話していました。 シェフの話はあまりに現実離れしていて、どこまでが本当なのかニーナにはわかりません。 もしかしたらロイおじいさんのために、シェフが用意した壮大な芝居だったのかもしれません。 けれど、本当か嘘かなんて、さして重要じゃないとニーナは思うのです。 ロイおじいさんの笑顔を思い出すと、今でも胸があたたかくなります。 やっぱりシェフは素敵な人だと、ニーナは思いました。 「さ、開店の時間だよ。準備はいい?」 「はい!今日もよろしくお願いします」 ―― 皆々様がたに、ご案内申し上げます。 旅先で海原亭を見かけたら、ぜひ立ち寄ってみてください。 新鮮な魚介料理と、ちょっと珍しい龍肉料理で、あなたを歓迎いたします。 レストラン海原亭 シェフ・スタッフ一同 ――
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