264人が本棚に入れています
本棚に追加
その顔はまるで小さい子供がおもちゃで遊んでいるような、ウキウキ顔。鼻歌でハミングしている。
なに者??←ケダモノ
「わ、私、先に湯船に入ってるわね」
私は理に背中を向けて湯船の縁に手をかけると、理は眉を顰めて、
「待て待てーーーい」
と時代劇風に呼び止めてきた。
「俺が先だ」
「そうなの?」
「お前は俺の上な?」
「…変態…」
「えー?一緒に風呂入る時は、コレ、鉄則だろ?」
だめだ。理と話してると、普通という言葉が、…いや、常識的な考えということすらも、全て無意味になる。
「うっし!綺麗キレイ」
理はニコニコ笑っておもちゃの泡を洗い流すと、シャワーのお湯を止めて早速私を押し退けて湯船に入り、足を伸ばして座った。
「さあ、おいで」
理は私を見上げてそう言って、私に左手を差し伸べてくる。
優しいのか何なのか。
変態なのか、子供なのか。
私はそう思うと、やっぱり笑ってしまう。
差し伸べられた理の手を取って、私は右足からゆっくり湯船に入り、理の足を跨いで向かい合わせに座ると、理の肩に手をかけて顔を近づけた。
「いつまで、私たち、一緒にお風呂入るのよぉ」
「ん?ずーっとだよ」
「…私、ヨボヨボの体は見せたくないわ」
「大丈夫。俺もだ」
「もう。…ド変態」
「ド?」
「ド!!」
私と理は顔を近づけて笑い合って、ゆっくりと唇を重ねた。
最初のコメントを投稿しよう!