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どうにか裏路地に入って、人々をまいた。
「ふぅ」
「ふぅ、じゃない! ……あんた、まさかまだ何もしてないの?」
……犯罪者肯定法。政治家とか、なんかすごい人やお偉いさん達が自らの汚職を肯定する為に作られた法である。
しかし、世の中──建前は、簡単にいえば罪を犯した人々の心を傷付けないようにしよう、という国からの優しい優しい配慮といったところだろうか。
そういうことで、なんでそういう解釈になったんだか知らんけど、「国民は皆、犯罪者であれ!」という謎の宗教? 国家の根回し? だかなんかの結果がこれ。
で、そんなありがたーい法律が制定された中、俺は──。
「強いていうなら冤罪を証明した」
という、探偵の真似事をしている。
「は⁉︎ ってことは、あれ全員その犠牲者⁉︎ なんちゅう有難迷惑振り撒いとんじゃおどれはー‼︎」
「だってさー、歩けば棒に当たるっていうか? 冤罪事件に出会すんだもん。それがあまりにもお粗末で、つい」
「つい、じゃねーよ!」
思わず大きな溜め息をついてしまう。
お粗末な事件を起こして犯罪者(冤罪)になって、みんなハッピー? なにそれ。みんな、「変だなぁ」と思わないんだろうか? 「保身の為に罪を犯そうとする変な世の中だ」って、思わないんだろうか?
「相手からしたら、もはやテロみたいなもんだよ! ん……? テロ?」
ミユはハッとした顔で、こちらを指差した。
「テロっちゃいなよYOU‼︎」
「わー。テロを提案してくる幼馴染なんて俺初めてー」
たしかに、この世は犯罪や犯罪者が溢れていて、その中で善人やその他諸々が暮らしてたのかもしれない。
でも、「そんなグレーなら、いっそ真っ黒に染め上げちゃおうぜー」って思想は……うん、そうだなぁ。
うん、と俺は頷いた。
「俺の暇つぶしのクオリティーを返してもらおうか」
俺、今日から指名手配犯になります。
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