樹専務

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「でまあ、君に関しては身内同然だし社長の後を継ぐかどうかは、まだ未定でいいんだけどね。経営者サイドになるっていうのはもうテンプレなんで、諦めて下さい」  何故か頭を下げる樹。 「いやいやいや、専務。何を頭とか下げてるんですか!」 「だって、祐一君。あの兄と義姉だよ? 親父も曲者だしさ。しかも聞いたら美奈の初恋のNinjaグリーンでしょ? アイツ絶対に会社まで会いに来そうだろ?」  真顔でそういう樹専務とまあ確かに、と目が泳ぐ祐一。 「君、やたらと気に入られちゃって大変だよね。今までのように経理課に君をそのまま置いといたら、あの人達が何かと理由をつけて出入りして、大騒ぎになるのは目に見えてるから、早々に君を秘書として引き上げさせたんだけどね」  遠い目になる樹専務。 「・・・え〜と」  はぁ〜とため息をつく樹。 「今度はさ、君を会社に置いといてサポート役として使いたい社長と、君を会社から連れ出してサポート兼遊び相手にしちゃいたい会長が君を取り合ってるんだよ」  溜め息を付きながら続ける樹。 「しかも会長が、君は麗奈の婿になるから自分の孫だよな〜 とか言って、兄をからかうんだよ。すると兄が何かを思い出して、不貞腐れるという事を繰り返すんだ。朝からそれをやってて、仲裁に忙しくてさ・・・ 会長が、昼に会食があるって言って出ていって、やっと静かになったんだよ」 「ええぇ〜・・・」  いや、俺の身体は一個しか無いんですけど。そして社長は何を思い出して不機嫌になるんだ・・・?  と、内心冷や汗をかく祐一。 「しかも君、本物の忍者の末裔でしょ? こき使われそうで怖いよ・・・・」  ああ。  この人メチャクチャ苦労人だ・・・・
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